妻から自宅などの不動産を「共有名義に変更しよう」と話を持ちかけられたら、妻は離婚を考えているかも知れません。
その際に、名義変更する理由として相続税対策のためと言ったら、ますますその疑いが強いとみて間違いありません。
なぜなら、多くの女性向け離婚本にそのように書かれているからです。
ちなみに、相続税には〔5,000万円+1,000万円×法定相続人の数〕の基礎控除があるので(例えば、夫婦と子供2人の家族の夫が亡くなった場合は、相続財産の課税価格の合計額が8,000万円《=5,000万+1,000万×3》を超えなければ相続税がかからない)、相続税を納める人は全体の5%程度にすぎません。
ただし、相続税対策ではなく相続対策でしたら、夫婦共有名義にすることは、より意味があります。
例えば、子供がいる夫婦の財産が自宅しかなければ、夫名義のままにしておくと、夫が死んだ後に妻が自宅にそのまま住めなくなるかも知れないからです。
子供に遺せる預貯金などがなく、遺言書を残していなければ、妻と子供の法定相続分は2分の1ずつ(子供が複数いれば、2分の1をさらに人数分に均等に分ける)なので、遺産分割のために自宅を売却しなければならないことも起こり得ます。
また、遺言書があっても、子供に残す財産が遺留分(法定相続分の2分の1)に達していなければ、遺留分減殺請求を起こされて、やはり自宅を売ってお金を作らざるを得ない可能性もあるのです。
一般的には、母子間で相続争いは起こらないと思いますが、可能性は否定できません。
こういうケースを想定すれば、自宅の名義を夫100%から夫と妻半々に、また妻の名義に変更することには意味があるでしょう。
結婚して20年を過ぎていれば、贈与税の配偶者控除が受けられるので、2,000万円までは贈与税がかかりません(基礎控除額と合わせて2,110万円まで無税で贈与できます)。
しかし、全くこういった事情でなければ、共有名義を持ちかれられたら離婚の可能性を疑ってみてください。
そして、仮に共有名義にするとしても、それぞれの持ち分は出資額や貢献度に見合うようにシビアに計算して決定しましょう。
例)
時価4,000万円の自宅(ローン完済)で、頭金1,000万円は夫の独身時代からの預金から全額出した場合(妻は専業主婦)
夫の持分: 1,000万円+3,000万円×70%(※1)=3,100万円
妻の持分: 3,000万円×30%(※1)=900万円
つまりこのケースでは、夫の持分77.5%、妻の持分22.5%とするのが適当。
※1 専業主婦の潜在的持分を30%とする
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