財産分与とは、離婚の際に結婚期間に築いた夫婦の共有財産を清算するために、一方(夫が多い)が他方に財産を分け与えることです。
夫婦の財産には、夫婦財産制度とはで説明しているように、共有財産と特有財産(夫婦それぞれの個人財産)がありますが、財産分与をするのは共有財産だけです(※1)。
財産分与の割合(夫婦それぞれの持分)は夫婦間で自由に決められますが、決まらない場合は調停や裁判によって決定されます。
一般的には、共働き夫婦では半々、専業主婦の場合は3〜4割認められることが多いようです。
夫が世間一般より高収入の場合は、妻の持分は少なくなる傾向です。
分与金額についてですが、通常婚姻期間が長いほど共有財産がより蓄積されるので、金額も多くなります。
| 結婚期間 | 平均金額 |
| 1年未満 | 141万円 |
| 1〜5年未満 | 199万円 |
| 5〜10年未満 | 304万円 |
| 10〜15年未満 | 438万円 |
| 15〜20年未満 | 535万円 |
| 20〜25年未満 | 699万円 |
| 25年以上 | 749万円 |
| 全平均 | 380万円 |
上の表をみると、結婚期間が1年未満での財産分与金額が他と比して多く感じられますが、多分慰謝料としての分が多いのだと思われます。
財産分与と慰謝料、養育費を合わせて離婚給付と言いますが、性格はそれぞれ全く違いますので、離婚の際には別々に計算するべきです。
ちなみに、財産分与の分け方や支払方法としては、現金分割、現物分割、代償分割、一括払い、分割払いなどがあります。
財産分与や慰謝料、養育費などの離婚給付を支払ったら、その証拠として領収書(振込通知書などでいい)や、現物支給の場合は受領書を必ず妻に書いてもらって残しておきましょう。
そうしておけば、後々払った払わなかったで揉めることを回避できます。
財産分与の時効は離婚後2年です。
ところで、財産にはプラスの財産ばかりでなく、借金などマイナスの財産(負債)もあります。
離婚の際に、住宅や車のローンなど家族の日常生活のために必要な借金が残っていれば、これも当然財産分与の対象となります。
自宅を例にとると、〔時価 − ローンの残高〕の金額が財産分与の対象となり(頭金が個人資産から支払われていれば、頭金の分も差し引きます)、家に残る側が現金などで相手に支払います。
ただし、不動産価格の下落などで、時価がローン残額よりも少ない場合(オーバーローン)は、マイナス財産も平等に分ける(家を出る側が逆に支払う)のが原則ですが、実際には家に残る側がローンを払い続け、財産分与全体で調整するのが妥当です。
同じ借金でも、日常家事債務から逸脱した買い物やギャンブルなどによるものは、個人の借金であって財産分与の対象にはなりません。
なお、多額の財産分与をすると贈与税がかかることがあります。
特に含み益(時価 > 購入価格)がある不動産を現物分割(贈与)すると、差額(含み益)が譲渡所得とみなされて、財産分与した側に贈与税が課税されることがありますので注意が必要です。
ただし、財産分与の額が一般的にみて妥当であれば、税金がかかることはありません。
財産分与で問題になることのひとつに、まだ受け取っていない退職金の扱いがあります。
退職金を給料の後払いととらえれば、共有財産となるので財産分与の対象にしなければならないという考え方になります。
退職金が必ず支給される予定で、規定で支給額も明らかな人が、退職間際に離婚するようなケースでは、退職金も財産分与に含めるべきでしょう。
しかし、現在のような経済状況では、よほど経営が安定した企業や公務員でない限りは、将来受け取る退職金なんて「絵に描いた餅」だという方も多いでしょう。
ですから、将来受け取れるかどうかもわからない退職金を、わざわざ財産分与に含める必要はないと思います。
もし退職金を一括で受け取る必要がない方は、できれば退職金を企業年金に組み入れて分割で受け取れるようにしてもらうのも、自分の財産を守るひとつの方法です。
企業年金は年金分割制度の対象外だからです。(⇒離婚時年金分割制度)
最後に、財産分与は原則的に共有財産の清算なので、離婚原因を作った側(有責配偶者)も受け取る権利があります。
しかし、妻側に離婚原因がある場合は、財産分与をこちらから申し出る必要はありません。
妻から財産分与を要求されたら、ある程度支払う心づもりはあっても、まずは財産分与は一切しないという強気な姿勢で対応しましょう。
そのようにして交渉のイニシアチブ(主導権)をとることで、自分に有利に離婚協議を進めることができるのです。
※1離婚によって妻が経済的苦境に陥る場合は、夫の特有財産からも財産分与が支払われることがまれにあります。これを扶養的財産分与と言います。
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